経済産業省は27日、令和4年度の電力需給の見通しを有識者会議に示した。猛暑や厳寒を想定した場合、電力の余力を示す供給予備率は来年7月に各地で最低限必要な3%をかろうじて維持、5年1~2月に東京電力管内でマイナスとなる厳しい予想となった。需給切迫を防ぐため、発電燃料確保に関する指針案も会議で示し、電力の安定供給に向けた対応の検討を進める。
サンマの水揚げ量が日本一の北海道根室市の花咲港で27日、主力となる大型船が今年初めて水揚げした。約90トンと昨年の約6トンから大幅に増えたものの、数百トンに達したかつての盛況に比べると低調。漁業関係者は「漁場が遠方の公海となり操業回数が減る分、水揚げ量を増やしたいが思うようにいかない」と話す。
自民党の佐藤正久外交部会長と大塚拓国防部会長は27日、台湾の与党・民主進歩党で外交、防衛を担当する立法委員(国会議員に相当)らとオンライン形式で初めて会談した。「日台与党間外務・防衛2プラス2」との位置付けで、台湾への軍事的圧力を強める中国への対応を議論。外交・安全保障分野で緊密に連携していくことを確認した。
中国共産党中央宣伝部は27日までに公表した文書で、習近平党総書記(国家主席)を「大国のかじ取り」を担う存在として毛沢東と同等の扱いで紹介した。強力な中央政権が安定の前提として一党支配を正当化。ただ「低俗な個人崇拝」は否定し、集団指導体制も守るとした。強権体制との批判をかわす狙いだ。
【カイロ=佐藤貴生】アフガニスタンの首都カブールで起きた爆発で、犯行を認める声明を出したイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)はイラクとシリアにまたがる地域を支配した2014年以降、世界各地のテロ組織を傘下に収めて影響力を及ぼしてきた。
アフガニスタンの首都カブールの国際空港で少なくとも13人の米兵が殺害された自爆テロは、混乱を最小限にして米軍のアフガン駐留の幕引きを目指したバイデン米大統領にとり最も忌むべき展開となった。米国を敵視する世界各地のイスラム武装勢力が勢いづくのは必至とみられ、バイデン政権は「アフガンへの資源と関心を中国などとの競争に振り向ける」との思惑と裏腹に、引き続き「テロとの戦い」に取り組むことを強いられることが確実だ。
オーストラリアの二大都市のメルボルンとシドニーで21日、新型コロナウイルス対策で導入されているロックダウン(都市封鎖)に抗議するデモが同時に行われた。地元メディアによると、警察は暴力行為などをした疑いで少なくとも計250人を逮捕した。
内閣官房参与(デジタル政策担当)の村井純慶応大教授は27日までに産経新聞のインタビューに応じ、9月1日に発足するデジタル庁について語った。村井氏は日本のデジタル化について「各組織が縦割りで進めてきた」と指摘。デジタル化は全省庁や自治体にとって避けられない課題で「従来の縦割りの仕組みではできない」とし、省庁横断でデジタル化を進める権限を持つ同庁への期待感を示した。
スタジオや楽器を備えたユニークなデイサービス施設「音楽介護予防施設KEION(けいおん)」が埼玉県川越市にオープンした。音楽活動に取り組む場を施設利用者に提供することで、老化や認知機能低下の予防を図る。
イオンは27日、スマートフォンを使った新たな決済サービス「イオンペイ」を9月1日に始めると明らかにした。傘下のスーパーや銀行のアプリと統合し、既存サービスと一体で使えるようにして顧客の利便性を高める。デジタル技術で消費者を囲い込む「経済圏」の構築をめぐり、先行する楽天グループなどとの競争が激しくなりそうだ。
前橋市は24日、内閣府に公募していた、マイナンバーカードや携帯電話、顔認証を組み合わせた「まえばしID」を活用し、ITで地域の金融を再構築するデジタルトランスフォーメーション(DX)実証事業などが、採択されたと発表した。
田村憲久厚生労働相は27日夜のBS-TBS番組で、新型コロナウイルス感染症の治療に使う抗体カクテル療法に関し、患者への自宅での投与に前向きな姿勢を示した。現在認めている宿泊療養施設での使用を進めつつ、開業医らでも安全に使えるめどが立てば「次の段階に入る」とした。
【ワシントン=塩原永久】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は27日、毎夏恒例の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演した。新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)流行が「短期的なリスクだ」と懸念を表明する一方、景気に「明確な進展がみられる」として、順調な改善が続けば量的金融緩和策を「年内に縮小開始するのが適切」と述べた。
東京パラリンピックで米国内の独占放映権を持つ米メディア大手NBCユニバーサル(NBCU)は、13日間の大会期間中にテレビで200時間超、インターネットのストリーミングで1000時間超の放映を行う。前回リオデジャネイロ大会の70時間、前々回ロンドン大会の5時間半から大幅に伸びた。米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は「障害者スポーツの普及を目指すNBCUの継続的な意思を示すものだ」と評価する。
大阪府医師会は27日、新型コロナウイルスの自宅療養者を診療する医師向けに指針をまとめ、公表した。往診前に自覚症状などを聞き取り、症状悪化の兆候が表れやすい血中の酸素飽和度に注意することなどを明記。重症化リスクがある患者は治療薬の「抗体カクテル療法」を行う病院に迅速に入院させることも盛り込んだ。
全国の児童相談所が令和2年度に児童虐待として対応した件数が20万5029件(速報値)に上ったことが27日、厚生労働省のまとめで分かった。平成2年度の統計開始以来30年連続で最多を更新し初めて20万件を超えた。前年度からの増加は1万1249件(5・8%増)。増加幅は近年2割増程度だったが縮小した。新型コロナウイルス禍の影響も懸念されるが、厚労省は「現時点で感染拡大との間に明確な関連性は見られない」とした上で、引き続き注視する方針。
平成29年7月の九州北部豪雨で被災し、不通となったJR日田彦山線添田(福岡県添田町)-夜明(大分県日田市)で、バス高速輸送システム(BRT)に転換する工事が進んでいる。BRTへの転換をめぐっては、JR九州と地元自治体の意見がなかなか折り合わず、復旧方針の決定までに被災から3年を要した。昨年7月の合意から1年余りがたち、令和5年度中の運行開始を目指す新たな交通手段を活用したまちづくりが始まろうとしている。関係者の思いを聞いた。
長崎住吉郵便局(長崎市)の元局長が知人らから現金をだまし取ったとされる事件で、日本郵便は27日、衣川和秀社長の月額報酬を3カ月間、30%減額すると発表した。退職者を含む当時の上司や、業務上の手続き違反が見つかった他の郵便局長らも停職や減給などとし、社長を含む処分者は計18人となった。
大阪府医師会が自宅療養者の往診強化に動き出した。業務が逼迫(ひっぱく)しがちな保健所を介さず、医師の判断で重症化防止の効果がある「抗体カクテル療法」を行っている医療機関や宿泊療養施設に早期につなげる枠組みが中心となる。茂松茂人会長は「患者を第一に考え、保健所を補完する役割を果たしたい」と話した。
教員と教員以外の専門職が連携し、学校を中心に一つのチームとして子供たちをサポートする「チーム学校」において、心身に問題や悩みを抱えた子供たちが出入りする保健室は核となる存在だ。教室に入れない子供がいれば戻るきっかけを模索し、虐待やいじめなどの深刻な問題の端緒をもつかむ。昨年からは新型コロナウイルスの感染対策も担う。体調を崩した子も、一見元気そうな子も-。養護教諭は、平穏な日常を守る砦となっている。