1993年11月に「すし匠 はなや与兵衞」をオープンし、日本の鮨界に新風を吹き込んだ中澤圭二さんは、同店を後進にまかせ、2016年9月、「すし匠ワイキキ」を開店した。地元ハワイの魚をネタの軸にすえ、塩や酢で魚介の旨味を引きだす江戸前の技法を用いた鮨は、内外で話題を呼び、高く評価された。
その中澤さんが、今年7月、ニューヨークに打って出ることになった。場所は5番街(5th avenue)。パブリック・ライブラリーの真ん前、マンハッタンの中心地だ。
中澤さんは、弟子を育てることにかけては、鮨界随一と言っていい。これまでも、四ッ谷「すし匠」をベースに数多くの弟子を輩出し、独立した店はどこも人気店に成長している。
中澤さんは、「すし匠」に入ってきた弟子たちを家族として扱う。だから、和を乱したり、人として道を外れたことをすれば容赦なく叱責する。ときに禅寺のようなところに送り込んで鍛え直したりもする。人間として何が足りないかを見抜き、アドバイスし、道を示す。中澤さんの握る鮨が至高であることは言うまでもないが、なんといっても一番の功績は、30年以上にわたって何十人もの若い職人を育ててきたということに尽きる。
中澤さんは、そんな修業の場を、今秋さらに、新たに立ち上げることとした。