２００８年６月８日、東京・秋葉原で７人が死亡、１０人が重軽傷を負った「秋葉原無差別殺傷事件」で殺人などの罪に問われ、死刑が確定していた加藤智大死刑囚（３９）の死刑が２６日に執行されていたことが明らかとなった。執行に対して、弁護士会や人権団体から抗議声明が上がっているが、国際的には廃止に向かう死刑制度に対し、日本では反対の世論は盛り上がらない。筆者もかつては冤罪の可能性が高い事件以外はやむを得ない、「死刑容認」の立場だった。理由は、死刑や犯罪者に関する情報がない中、響いたのは死刑を望む遺族の声だったからである。しかし、加害者家族支援に従事するようになり、死刑囚の家族の心情に触れ、事件が起きる背景を知るにつれ、制度の意義や在り方に疑問を抱くようになった。
