2020年9月に逝去した三井住友銀行元頭取・日本郵政元社長の西川善文氏は、2013年から翌年にかけ、記者と編集者を相手におおいに語ったことがある。仕事とはどのようにするべきなのか、どんな人が成果を上げるのか。語られたことは、長年、大組織の中で人に揉まれ、人を観察し、お客と相対し、トップとして人を率いた経験と、持って生まれた眼力によって培われた、西川善文ならではの奥深いものだった。死去から半年経ったことを契機に、それを一冊の本『仕事と人生』として刊行することになった。「ラストバンカーの遺言」というべき本書から、どんな時代も変わらぬ仕事術を、数回にわたりご紹介したい。