哺乳類細胞では、染色体の1本1本は、約1Mb(メガベース=100万塩基対)のDNAが球状に折り畳まれた「トポロジカルドメイン(TAD)」と呼ばれる構造が数珠つながりになった形をとっており、複数のTADがさらに空間的にまとまった配置を取っている。この配置は、遺伝子の発現と密接な関わりがあるとされ、遺伝子が転写されやすいTADが集まった空間をAコンパートメント、転写されにくい空間をBコンパートメントと呼ぶ。核内での染色体の形や位置は細胞種によって異なり、細胞分化の際には染色体構造が変化すると考えられるが、TADのようなMbレベルの階層でどのように変化するかは、全く分かっていなかった。