「お花はいかがですか?」終戦直後の混乱期に、東京の街角で通行人に花を売る少女たちがいた。色とりどりの花束をかごに詰めた「花売り娘」たちは、多いときには100人近くいたという。
“最後の花売り娘”、木村義恵さん(82)は、父親の放蕩で生活が苦しくなった12歳のころに銀座で花を売り始めた。途中引退した時期もあったが、タイピストや家政婦などさまざまな職を経て、42歳で復帰。40年たったいまも、平日の夜8時から11時、時には0時過ぎまで銀座の路上で花を売り歩く。義恵さんが花売りを始めた少女時代のエピソードを、『銀座花売り娘 81歳、最後の一人』(株式会社小林小屋)から一部抜粋してお届けします。