4月12日に発売される『太平洋戦争秘史 戦士たちの遺言』(講談社ビーシー/講談社)は、著者・神立尚紀氏が四半世紀にわたって戦争を体験した当事者を取材し、「現代ビジネス」に寄稿、配信された記事のなかから、主に反響の大きかったものを選んで「紙の本」として再構成したものである。そこに掲載された記事に関連するエピソードをいくつか紹介する。
第1回は、「ヒトラーの要望で日仏を往復した潜水艦乗組員を待ち受けた過酷な運命」――大戦中、5度にわたってドイツ占領下のフランスに派遣された潜水艦のうち、唯一、無事に往復を果たした伊号第八潜水艦の前に、帰国を目前にしながらシンガポールで爆沈した悲劇の潜水艦があった。伊号第三十潜水艦である。その唯一の生存者が語る、戦時下のパリの空気、そして、爆沈の真相とは。